乳がんについて
1. 乳がんとは
乳がんは、乳房の中にある乳腺に発生する悪性腫瘍のことを指します。乳房は、母乳をつくる「乳腺」と、それを支える脂肪組織や皮膚などから成り立っています。乳腺は「小葉」と「乳管」という構造でできており、乳がんの多くは乳管の細胞に由来する「乳管がん」です。
乳がんは女性に最も多いがんのひとつであり、日本では年間9万人以上の女性が診断されています。また、近年では40代・50代に加え、30代から増え始める傾向があり、働く年代や子育て世代の方にも少なくありません。
早期に見つかれば治療方法の選択肢が広がり、治療後の生活の質(QOL)も保ちやすくなります。そのため、乳がんは「早期発見がとても重要ながん」と言われています。
2. 乳がんが生まれるしくみ・原因
乳がんは、乳腺の細胞が何らかの原因で正常な増殖の制御を失い、異常に増殖することから始まります。原因はひとつではなく、さまざまな要因が組み合わさることで発症につながると考えられています。
主な要因と考えられているもの
- 女性ホルモン(エストロゲン)の影響
月経の開始が早い、閉経が遅い、出産歴がないなど、女性ホルモンにさらされる期間が長いと、リスクが上がるとされています。 - 加齢
年齢が上がるほど、体内で細胞の修復が追いつかなくなることがあります。 - 家族歴・遺伝的要因
母親・姉妹・祖母など血縁者に乳がんを経験した人がいる場合、リスクが上がることがあります。 - 生活習慣
運動不足、過度の飲酒、肥満なども影響すると考えられています。
ただし、どれにも当てはまらなくても乳がんになることはあります。
「原因がわからないからこそ、早期に確認する」ことが大切です。
3. 乳がんの主な症状
乳がんは、初期の段階では自覚症状がないことも多いですが、以下の変化が見られることがあります。
- 乳房にしこりを感じる
- 乳房の形が以前と変わった
- 乳頭から血液が混じった分泌物が出る
- 乳房や乳頭の皮膚がへこむ・赤みが出る・ただれる
- 脇の下にしこり(リンパ節腫大)を感じる
「痛みがない=乳がんではない」ではありません。
痛みが伴わない乳がんも多くあります。
4. 乳がんの検査
乳がんの診断では、以下の検査を組み合わせて行います。
視触診
医師が乳房や脇の下を触れて、しこりや皮膚の変化を確認します。
マンモグラフィー
乳房を圧迫してX線で撮影する検査です。微細な石灰化など、非常に小さな変化を発見できることが特徴です。
乳腺エコー(超音波検査)
乳房の内部を超音波で描出し、しこりの内部構造を確認します。若い方や妊娠中でも受けられます。
生検(組織検査)
画像検査で異常がみられた場合、細胞や組織を採取して顕微鏡で調べます。これによって「がんかどうか」を最終的に診断します。
5. 病期(ステージ)の考え方
乳がんの進行度は、腫瘍の大きさやリンパ節転移、他の臓器への転移の有無によってステージ分類されます。
ステージ 目安
0期 極めて早期、乳管内にとどまっている状態
I〜II期 乳房内にとどまる、またはごく近い範囲のリンパ節まで
III期 リンパ節転移が広がっている
IV期 遠くの臓器(骨・肺・肝など)へ転移している
早期(0〜I期)で見つかった場合、治療後の生活の質は保たれやすく、再発リスクも低く抑えられる可能性があります。
6. 治療について
乳がん治療は、がんの性質・大きさ・広がり・年齢・体調などを総合的に判断して決定します。
治療は複数の方法を組み合わせることが一般的です。
手術
乳房全体を残す「乳房温存手術」と、乳房を切除する「乳房切除術」に大きく分かれます。
リンパ節の評価にはセンチネルリンパ節生検が用いられます。
放射線治療
手術後、残った乳腺や周囲に見えないがん細胞が残っている可能性に対して照射を行う方法です。
薬物療法
がんの性質に応じて選択します。
- ホルモン療法(ホルモン受容体陽性の乳がんに)
- 抗HER2療法(HER2陽性の乳がんに)
- 化学療法(抗がん剤)
がんの性質は病理検査で明らかになります。
7. 治療後の生活とフォローアップ
治療が終わったあとも、定期的な経過観察が大切です。
乳房の状態や副作用、再発の兆候を確認しながら、安心して日常生活を続けられるようサポートします。
また、乳がん治療は心や生活にも影響することがあります。
仕事・子育て・家事・身体の変化について、不安を抱えたままにしないための相談先や支援体制があります。
8. 最後に
乳がんは、早期に見つけることで治療負担を抑えられる可能性のある病気です。
「気になる」「いつもと違うかもしれない」
そう感じたときは、どうかお一人で抱えこまないでください。
六本松乳腺クリニックでは、乳がんの診断から治療相談、本院との連携まで含め、患者さまに寄り添った診療を行っています。