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乳腺炎

乳腺炎について

1. 乳腺炎とは

乳腺炎(にゅうせんえん)は、乳房の中にある「乳腺」に炎症が起こった状態のことをいいます。多くは授乳期の女性にみられる病気で、出産後2〜3週間から数ヶ月の間に発症することが多いとされています。

乳房が張って痛んだり、しこりのような硬い部分ができたり、赤く腫れたり、発熱を伴うこともあります。

乳腺炎は、母乳の流れが滞ること(乳汁うっ滞) がきっかけで起こることが多く、そこに細菌感染が加わると症状が強くなります。赤ちゃんへの授乳や育児が思うように進まない時期に重なることもあるため、身体的な負担だけでなく、心のつらさにつながりやすい病気でもあります。

「頑張りが足りないから起こる」のではありません。
乳腺炎は、誰にでも起こりうる、よくある乳房のトラブルです。

2. なぜ乳腺炎は起こるのか(原因)

乳腺炎の多くは、以下の流れで起こります。

① 母乳の流れが滞る(乳汁うっ滞)

  • 長時間授乳間隔が空いた
  • 赤ちゃんの吸い方が弱い・片側ばかりで授乳している
  • 乳管の一部が詰まり、母乳が残っている

② 乳腺内の圧が高まり、炎症が起こる

乳房が張り、痛み・しこり・熱感が起こる。

③ 細菌が入り込むと、感染性乳腺炎に進展

  • 乳頭の小さな傷
  • 乳頭の乾燥・裂けなど

感染性乳腺炎になると、高熱(38〜40℃)、悪寒、全身倦怠感などが目立ち、治療が必要になります。

3. 乳腺炎の種類

乳腺炎は大きく2つに分けられます。

うっ滞性乳腺炎

主な特徴:母乳が溜まっていることが主原因
治療の中心:搾乳・授乳姿勢の見直し

感染性乳腺炎

主な特徴:細菌感染を伴い熱や強い痛み
治療の中心:抗生剤 + 乳房ケア

症状が似ているため、乳腺外来での診断が重要です。

4. 代表的な症状

  • 乳房が硬く、押すと強い痛みがある
  • しこりのような塊を触れる
  • 乳房が赤く腫れる
  • 皮膚が熱を持っている
  • 授乳・抱っこ時に鋭い痛みを感じる
  • 発熱・悪寒・倦怠感

症状が急速に強くなることがあるため、我慢せず相談することが大切です。

5. 乳腺炎と乳がんは違います

乳腺炎は炎症性の病気で、乳がんとは異なります。しかし、赤みやしこりなど、症状が似ている場合もあるため、自分で判断せず受診することが必要です。

特に、授乳中ではない時期に乳房の赤み・しこりが続く場合は、炎症性乳がんなどの除外が必要となる場合があります。

6. 診断に用いる検査

乳腺炎の診断には、以下の方法を組み合わせます。

視触診

乳房の硬さ・赤み・圧痛の程度を確認します。

乳腺エコー(超音波検査)

炎症の範囲や、膿が溜まっていないか(膿瘍形成)を確認します。
治療方針の決定に非常に重要です。

必要に応じて

  • 血液検査(炎症の強さの評価)
  • 乳汁の培養検査(菌の種類を調べる)

7. 治療について

治療は症状の進行度に応じて変わります。

① うっ滞性乳腺炎(初期)

  • 乳房を温める(入浴・温タオル)
  • 授乳間隔を空けすぎない
  • 授乳姿勢の調整(深く吸わせる)
  • 必要に応じて搾乳

無理に強く揉むことは逆効果です。
乳腺を傷め、炎症が悪化する可能性があります。

② 感染性乳腺炎(発熱・強い痛み)

  • 抗生剤の内服
  • 痛み止め(授乳中でも使用可能な薬があります)
  • 授乳は続けてOK(中断する必要はありません)

③ 膿瘍(膿の溜まり)を伴う場合

  • 針または小切開による排膿
  • エコーで位置を確認しながら安全に行います

8. 授乳を続けても大丈夫?

はい、授乳は基本的に続けられます。
むしろ、母乳が乳腺に滞らないことが改善のポイントです。
ただし、

  • 片側が非常に痛いとき → 反対側から授乳
  • 授乳が難しいとき → 搾乳で代用
  • 赤ちゃんの吸い方に問題がある場合 → 授乳指導で改善

「授乳をやめてください」と指示されることは、現在の医療ではほとんどありません。

9. 日常生活のケア

  • 休息をとる(疲労は症状を悪化させます)
  • しめつけの少ないブラに変える
  • 水分をしっかりとる
  • 乳頭の保湿(傷予防)
  • ストレスや不安を抱え込まないこと

育児中は「自分のケア」は後回しにしがちですが、母乳と身体を守ることは、赤ちゃんを守ることでもあります。

10. 受診のタイミング

次のような場合は、乳腺外来を受診してください。

  • 乳房が赤く、強い痛みがある
  • 発熱(38℃以上)が続く
  • しこりが大きく、改善しない
  • 乳汁に血が混じる
  • 授乳がつらい・負担が大きい

様子を見よう」と我慢しすぎると、悪化して治療が長引くことがあります。
早く相談するほど、改善も早い病気です。

11. まとめ

乳腺炎は、授乳中に多くみられる乳房の炎症で、決して珍しいことではありません。
母乳育児を頑張っているからこそ、乳腺に負担がかかりやすい時期に起こりやすいものです。

六本松乳腺クリニックでは、

  • 乳腺エコーによる丁寧な評価
  • 症状に応じた治療
  • 授乳を無理なく続けるためのケアと指導
  • 必要に応じた本院(及川病院)との連携

を大切にし、身体だけでなく“心の負担”にも寄り添った診療を行っています。

どうか、お一人で抱え込まないでください。
つらさを一緒に分け合いながら、改善へ向けてお手伝いします。

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