乳管内乳頭腫について
1. 乳管内乳頭腫とは
乳管内乳頭腫とは、乳房の中にある「乳管」と呼ばれる母乳の通り道の内側にできる、良性(がんではない)腫瘍です。
乳管内の細胞が増殖し、小さな“こぶ”のような形で存在します。腫瘍自体は良性ですが、位置や大きさ、周囲の組織変化によって症状が現れることがあります。
乳管内乳頭腫は、しこりとして触れない場合もありますが、乳頭から血が混じった分泌物が出ることで気づかれることが多いのが特徴です。1つだけできるタイプ(単発性)と、複数できるタイプ(多発性)があり、治療方針も異なります。
2. どのような人に多いのか
乳管内乳頭腫は幅広い世代に見られますが、特に
- 40代〜50代以降の女性
- ホルモンバランスが変化する時期
に多くみられます。
出産経験の有無に関わらず起こります。「乳がんになりやすい性格」や「生活習慣」などは直接関係しません。
3. 主な症状
乳管内乳頭腫の代表的な症状は以下の通りです。
よく見られる症状
- 乳頭分泌(特に片側のみ、血液が混じることが多い)
- 透明〜茶色の分泌液
- 乳頭を圧迫したときに出てくる液が続く
しこり
- 触ってわかるしこりがある場合もある
- しかし、しこりが触れない場合も少なくありません
痛み
- 痛みはないことが多い
- 乳頭周囲に軽い違和感が出る場合もある
「血が出た=乳がん」ではありません。
しかし、乳がんでも分泌が起こることがあるため、自己判断ではなく受診が大切です。
4. 乳がんとの違い
乳管内乳頭腫は良性腫瘍ですが、症状が似ているため、乳がんと区別する必要があります。
乳管内乳頭腫
発生部位:乳管の内側
性質:良性
乳頭分泌:血性分泌が特徴的
しこり:触れないこともある
診断:画像 + 組織検査で判断
乳がん
発生部位:乳腺のさまざまな場所
性質:悪性
乳頭分泌:分泌が見られることもある
しこり:触れることが多い場合も
診断:画像 + 組織検査で診断
症状だけで見分けることは困難なため、診察・画像検査が必要です。
5. 診断のための検査
乳管内乳頭腫の診断には、以下の検査を組み合わせます。
① 視触診
乳房や乳頭に変化がないか確認します。
② 超音波検査(乳腺エコー)
乳管の中に小さな腫瘍があるかどうか評価します。
乳管の内部はエコーで見やすく、診断にとても役立ちます。
③ マンモグラフィー
石灰化の有無や、乳腺全体の状態を確認します。
④ 分泌物検査(細胞診)
乳頭分泌液を顕微鏡で観察し、悪性の細胞が混ざっていないかを調べます。
⑤ 針生検(必要に応じて)
腫瘍の一部を取り、良性か悪性かを病理検査します。
6. 治療方針
乳管内乳頭腫は、以下の観点から治療を決めます。
- 腫瘍が単発か、複数か
- 腫瘍の大きさ
- 乳頭分泌が続いているか
- 生検での病理結果
基本的な治療方針
良性で小さく、症状が軽い→定期的な経過観察
血性分泌が続く/大きい/増大傾向→手術で摘出
多発性/境界病変を疑う→手術で摘出することが多い
手術について
手術は、乳管の一部と腫瘍を取り除く 比較的小さな手術であり、乳房の形が大きく変わることはほとんどありません。
7. 日常生活・経過観察について
乳管内乳頭腫は、良性であることがほとんどです。そのため、経過観察のみで問題ない場合も多い病気です。
経過観察を行う場合:
- 定期的な乳腺エコー
- 乳頭分泌が変化した場合は再受診
- 痛みやしこりを感じたら相談
「様子をみる」ではなく
“見守りながら状態を確認する” のが経過観察の目的です。
8. 再発について
乳管内乳頭腫は、再発することがあります。しかし、再発したからといって、悪性化したわけではありません。
再発した場合も、状態を再評価し、必要に応じて治療を行います。
9. まとめ
乳管内乳頭腫は、乳管内にできる良性の腫瘍です。乳頭分泌がきっかけで気づかれることが多く、乳がんとの鑑別がとても大切です。
六本松乳腺クリニックでは、
- 丁寧な視診・触診
- 超音波検査による評価
- 必要に応じた細胞診・生検
- 本院(及川病院)との連携による治療
を通じて、患者さまの不安に寄り添いながら診療します。
「血が出て心配…」
その不安を、ひとりで抱える必要はありません。
まずは一度、乳腺専門医にご相談ください。
安心へ向かう一歩を、一緒に踏み出しましょう。